かぜやインフルエンザの初期治療でも漢方薬は役立ちます。
初期症状に合わせて漢方薬を選んで服用することで、症状が軽いうちに早く良くなっていただけます。
早ければ一日のうちに治ってしまいます。(何もせずに我慢していると加速度的にウイルスが増殖してしまいますので、一刻も早く対処することが大切です。)
繰り返しますが、一日で良くなる方法として大切なのが、症状が起き始めたらすぐ(30分以内)に漢方薬を服用することが重要です。
ですから、ご自分やご家族に合った漢方薬を家庭で常備しておき、外出時には2~3回分を携帯しておくことをお勧めします。
かぜやインフルエンザの初期には、寒気、熱感、くしゃみ、鼻水、頭痛、のどの痛み、発熱、体の節々が痛む、体ががだるい 、咳などの症状がよく起こるのではないでしょうか?
起き始めの症状を大きく3つに分けて、そのタイプに合った漢方薬をご服用ください。
○熱型のカゼ(赤いカゼ)
熱型のカゼの症状は、のどが赤く腫れ痛む、のぼせ感、あつがる、口や鼻の中が乾燥する、尿が黄色く濃い、体を冷やすと気持ちがよい、などがあります。
熱型の症状を引き起こすカゼ(中医学では熱邪といいます)は主にノドの粘膜から体内に侵入すると考えられ、まず最初にノドの痛みが現れることが多いようです。
このカゼには体を冷やし炎症を鎮める薬草(金銀花、連翹など)を使います。民間療法では生のダイコンとハチミツを使った「ダイコンアメ」が使われます。
代表的な処方は銀翹解毒散(ぎんぎょうげどくさん)・涼解楽(りょうかいらく)です。
寒型のカゼの症状は、ゾクゾクと寒気がする、発熱、体の節々が痛い、くしゃみ、薄い鼻水、体を温めたい、頭痛などがあります。
このタイプには、体を温め、発汗を促す薬草(麻黄、桂枝など)をよく使います。民間療法ではネギのみそ汁やショウガ湯などが使われます。
代表的な漢方処方は葛根湯(かっこんとう)や麻黄湯(まおうとう)です。
ただし、ここでいう寒、熱は本人の自覚症状であって、体温計で測った熱(体温)とは関係がありません。体温が39度あってもゾクゾク寒気が強く体を温めていたいのであれば寒型のカゼと分類します。
カゼの症状があまり強くなく胃腸の弱い方には、体の気を整えながら、風邪の治りを良くする漢方薬が用いられます。
代表的な処方は、勝湿顆粒(しょうしつかりゅう)・藿香正気散(かっこうしょうきさん)・参蘇飲(じんそいん)などです。
○日常的に使用するとよいもの
・板藍根エキスは、風邪やインフルエンザが心配な時や、のどの不調がある時によく使用されます。実験で、抗菌・抗ウイルス作用・消炎作用が認められています
・クマザサエキス(ササヘルス)-呼吸器系の粘膜の正常化や免疫機能の向上などにより、カゼなどの感染症の予防につながると考えられています
カゼの初期治療はご家庭で行うのが一番です。家族(お子様、ご主人、ご両親など)の体調を一番分かっているのは、家庭の主婦の方々です。
○家庭で常備しておいくと役に立つ漢方薬
・寒気のカゼ用-葛根湯(かっこんとう)
・ノドの症状・熱っぽさ用-涼解楽(りょうかいらく)
・予防や初期対応の漢方薬と併用するとよい-板藍茶(ばんらんちゃ)
この対処法でお子様が寝込んだり、病院へ通わなければならない頻度がかなり減ります。
耐性菌を出現させないよう抗生物質の使用は必要最低限にすることをお勧めします。(WHOは、日本の医療現場で抗生物質を使い過ぎていると警告しています。)