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神経症は、ストレスによる心の病気の代表で、誰にでも起こり得る病気です。
最近では不安障害とも呼ばれています。
自分の置かれた社会にうまく適応できず、心身にさまざまな症状が現れます。
ストレスに弱い性格の人は、些細なストレス刺激でも神経症になりがちです。
神経症には、不安神経症、心臓神経症、解離性障害、強迫神経症、心気症、ヒステリーなど、さまざまな種類があります
この不安は、対象がはっきりしたものではなく、身体機能の不明瞭な不安、動悸、頻脈、呼吸困難といった自律神経失調症状を伴うことも多いです。
①パニック障害
突然、激しい不安に襲われ、パニック発作(動悸、頻脈、胸痛、吐き気、発汗、めまい、呼吸困難など)を引き起こし、今にも死ぬのではないかという恐怖が襲ってくる状態です。
発作は数分~数十分続いて治まりますが、軽い場合でも週に1度、重い場合は週に3~4回繰り返します。
②全般性不安障害
さまざまなことが心配になって落ち着かず、常時緊張してリラックスできず、震え、筋肉の緊張、発汗、めまい、頭のふらつきなど様々な身体症状を伴います。
慢性的に憂うつや疲労感を伴うこともあります。
心臓そのものに病変はないのに、心臓の痛みや動悸(どうき)・息切れなどを示します。
あまりに大きなストレスに見舞われると、意志によるコントロールが失われ、通常では考えられない不思議な症状を起こします。
例えば、最近のつらい出来事の記憶が部分的に失われたり、体に病気がないにもかかわらず、ある日突然、体の一部が動かなくなったり、知覚が麻痺したりすることがあります。
ある考えが強く迫ってきて、忘れ去ろうとしてもしつこくつきまとい、その考えを消すために、自分でもばかばかしいと思いながら、一定の行動を繰り返します(強迫行為)。
例えば、執拗に手を洗ったり、入浴したり、縁起等を何度も確認したりする行為が見られます。
自分の健康状態やからだの調子に異常にこだわり、重大な病気にかかっているのではないか、などと心配する。診察を受けて身体的疾患はないと診断・説明されても容易に納得しない。
さまざまな感情的葛藤(かっとう)が原因となって起こり、実際に病気ではないのに痛みや運動・知覚の麻痺(まひ)、発熱・嘔吐(おうと)などのほか、健忘などの精神症状を訴えるもの。一般に女性に多いといわれたが、男性にもみられる。
1.肝気鬱結(かんきうっけつ)
イライラ、憂鬱感、胸脇部の張り、めまい、動悸、のぼせ
治療-疏肝解鬱
代表処方-加味逍遙散(かみしょうようさん)、抑肝散(よっかんさん)など
2.心腎不交(しんじんふこう)
不安感、動悸、胸のモヤモヤ、寝汗、頭のふらつき、足腰のだるさ、
治療-養心安神、交通心腎
代表処方-天王補心丹(てんのうほしんたん)・黄連阿膠湯(おうれなきょうとう)など
3.心脾両虚(しんぴりょうきょ)
気持ちの落ち込み、多夢、動悸、体のだるさ、ふらつき、貧血など
治療-養心安神、健脾益気
代表処方-帰脾湯(きひとう)・加味帰脾湯(かみきひとう)など
4.肝胆鬱熱(かんたんうつねつ)
眠りが浅い、多夢、イライラ、のぼせ、胸脇苦満、口が苦いなど
治療-清熱瀉火・安神
代表処方-竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、抑肝散加黄連芍薬(よっかんさんかおうれんしゃくやく)など
5.心火上炎(しんかじょうえん)
イライラが強い、不眠、のぼせ、胸の熱感、顔面紅潮、口が苦い、口内炎など
治療-養心安神・清熱
代表処方-牛黄清心丸(ごおうせいしんがん)、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)など
6.痰鬱胆擾(たんうつたんじょう)
不安感、驚きやすい、怖い夢を見る、胸のもだえ感、めまい、口が苦い、口が粘る、気持ち悪さ
治療-清胆化痰
代表処方-温胆湯(うんたんとう)・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)など
7.痰気鬱結(たんきうっけつ)
喉のつまり感、胃部の膨満感、ゲップ、悪心、嘔吐、
治療-行気解鬱・降逆化痰
代表処方-半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)など