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高プロラクチン血症と漢方薬について

目次

高プロラクチン血症

不妊症の原因として、「高プロラクチン血症」と診断される方が増えています。

「プロラクチン」ってなに?

「プロラクチン(PRL)」は脳下垂体前葉より放出されるホルモンで、乳腺を刺激して乳汁を分泌させる催乳ホルモンです。
妊娠・出産によりプロラクチンがたくさん分泌され、母乳が出るようになりますので、とても大切なホルモンであるのですが、妊娠していない女性でプロラクチンが高いと問題が起こります。

高プロラクチンと不妊症

高プロラクチン血症が不妊症の原因となるのは、妊娠するために大切な女性ホルモンの分泌や卵巣・子宮の働きにブレーキをかけてしまうからです。これにより、排卵障害・月経不調など起こります。授乳中は月経がなく、断乳すると月経が起こり妊娠が可能になるのはプロラクチンの作用です。

高プロラクチンの検査

高プロラクチン血症の検査では、血液中に24ng/ml以上のプロラクチンがある場合を陽性としています。また、検査では24ng/ml以下で母乳の分泌もないのですが、ストレスがあったときなどにプロラクチンが高くなる潜在性高プロラクチン血症もあり、やはり不妊症の原因となります。潜在性高プロラクチン血症はTRHテストという負荷テストでわかります。潜在性高プロラクチンはTRHtest15分で70ng/mlを陽性とします。(TRH-甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン)

臨床症状

高プロラクチン血症の方は、乳房の張痛があったり、出産もしていないのに母乳が出ることがあります。(乳首をつまんで分泌液が出る)
乳房張痛、乳汁漏出、月経不順、無排卵月経、無月経、不正出血、排卵障害、不妊、性欲低下、習慣性流産など

高プロラクチンの対処

高プロラクチン血症を治療する西洋薬もあり、パーロデル(メシル酸プロモクリプチン)、テルロン(テルグリド)などが代表的です。これらの薬で改善されない場合や副作用(吐き気、めまい、頭痛、不眠など)のため服用できない場合には、漢方生薬のひとつである「炒り麦芽エキス」」を使用することをお勧めしています。炒り麦芽は授乳期の乳汁分泌を抑制して退乳させる時に使われていましたが、高プロラクチン血症にも使用するとよいです。

漢方医学での高プロラクチン血症の対処法

高プロラクチン血症は漢方的にみて、肝鬱気滞、肝鬱化火に腎陽虚、腎陰虚、於血などが絡み合っているケースが多いようです。
つまり、高プロラクチン血症は、ストレスが強い、イライラ、心配、不安、不眠などの精神・情緒が不安定な方に多く、基礎体温が不安定、排卵痛や生理痛がある、手足の冷えや肩こり、頭痛などのホルモンバランスや血液循環の不調も見られます。
したがって、高プロラクチンによる不妊症の改善には次のような総合的な対処をします。
ストレスや精神神経・自律神経の乱れを整える漢方薬
+子宮や卵巣の働きを助け、女性ホルモンのバランスを整える漢方薬
+血液循環を良くする漢方薬

よく使用する漢方薬には、逍遙散(しょうようさん)+炒り麦芽エキス、加味逍遙散(かみしょうようさん)+炒り麦芽などがあります。

具体的な処方は、その方の体質や症状によって違います。詳しくは問診票・電話にてご相談下さい。

高プロラククチン血症の症例

ここに挙げている症例は、明正薬局で実際に出させていただいた漢方薬や健康食品を掲載しておりますが、実際に国から認可された効能効果とは異なる場合もあります。(中国医学・漢方医学での考えや臨床に基づいて各患者様にご提案した症例です。)
もし、取り上げている商品をご購入の場合は、お求めになる薬局でよくご相談の上、お選び下さい。

症例1

39才 女性 結婚2年  妊娠歴ナシ   身長162cm 体重53kg  看護士

結婚した年齢が高いため、すぐに子供を希望したがなかなかできず、半年後に不妊症専門の病院へ行き、高プロラクチン血症(プロラクチン25ng/ml)といわれ、パーロデル服用、そのあと、人工授精3回、顕微受精3回したが、妊娠せずに、明正薬局を紹介され、来局。
基礎体温表は波動が激しいH-2型(基礎体温のタイプ参照)
仕事も不規則で、ストレスが強い、特に月経前はイライラが強くなり、ご主人にあたり、その後落ち込む。乳房の張りも強い。生理痛は強く、レバー状の塊が混じる。手足の冷え、肩こり、頭痛(右側頭部)、食事は過食気味でお腹がはる。便秘しやすい。排卵頃のオリモノなし。

舌質 暗暗、舌苔 白

所見 高プロラクチンで、ストレスが強く、血液循環もよくない状態です。気持ちを落ち着かせ、血行改善をしながら、ホルモンバランスを整えていくことが大切です。
弁証 肝鬱気滞・於血
治法 疏肝理気・活血化於
処方 全周期-星火逍遙丸+炒り麦芽エキス
月経期-爽月宝(3日間)
低温期-ヴァイタルゲン+杞菊地黄丸(15日間)
高温期-海馬補腎丸+オリヂンP(12日間)
1ヶ月後、大きな変化はないが、多少イライラと胸の張りは楽かも。
上記の処方を継続。

3ヶ月後、排卵頃のオリモノを感じるようになった。
6ヶ月後、日勤だけの医院に転職したこともあり、はっきりと体調がよくなってきた。基礎体温の波動も改善してきた。
10ヶ月後、妊娠を確認。(自然妊娠)

コメント

体調も整ってきたので、そろそろ、顕微受精を再開する予定だった時の自然妊娠で、とても喜んでいただけました。仕事を日勤にして、体調を整えやすくしたことも良かった点です。

症例2

33才 女性 結婚3年  妊娠歴ナシ   身長153cm 体重48kg  会社員

結婚して1年後から子供を望むがなかなか出来ず、病院へ受診。高プロラクチン血症、多嚢胞性卵巣、黄体機能不全と診断される。治療として、クロミッド+AIH+hcgを3周期行い、フェルチノーム+AIH+hcgを3周期行うが妊娠できず、インターネットで検索しているうちに明正薬局を見つけ、不妊問診票を送って下さいました。カバサールは服用中。
基礎体温表は低温期が長く、高温期が短いF-2型(基礎体温のタイプ参照)
月経周期27~29日、月経期間3日間、月経痛が強い、疲れやすい、だるい、眠りが浅く、冷え症。便秘3日に1度。めまい、立ちくらみがある。アレルギー性鼻炎。足腰がだるい。

所見 まず、質の良い血液を増やし、血行改善をしながら、婦人科(卵巣・子宮)に栄養と酸素が十分供給されることが大切です。補腎養血によって卵巣の機能が良くなっていくと質の良い卵胞が育ち、高温期になってからも黄体機能が整っていきます。
弁証 血虚於血・腎虚
治法 補血活血・補腎
処方 全周期-婦宝当帰膠
月経期-桂枝茯苓丸+爽月宝(3日間)
低温期-ヴァイタルゲン+爽月宝(10日間)
排卵期-冠元顆粒+星火逍遙丸(3日間)
高温期-海馬補腎丸+オリヂンP(12日間)
1ヶ月後、体が楽になった。眠りや冷えが改善してきた感じ。
上記の処方を継続。
2ヶ月後、低温期が短くなり、高温期が13日間になった。
4ヶ月後、自然妊娠。

コメント この方は、漢方服用4周期目での妊娠でした。この間はカバサールだけを続け、AIH(人工授精)など他の治療はしませんでした。思っていたより、早く妊娠され驚いていらっしゃいました。