卵巣嚢腫・チョコレート嚢腫
卵巣は、子宮の両側に左右1つずつあり親指ほどの大きさの臓器です。
卵巣嚢腫(卵巣のう腫)とはその卵巣の一部にできた袋状の腫瘍内に液体などがたまる病気です。
卵巣のう腫は一般的に無症状です。 卵巣のう腫がこぶし大以上の大きさになってくると下腹部が膨らんだ感じや違和感を感じることもあります。
またある程度の大きさ(約5~6cm大以上)になると、捻転(卵巣嚢腫 の部分がねじれてしまうこと)、破裂の恐れがあり手術を考慮します。
卵巣のう腫は、一般的に婦人科での内診や超音波検査で診断します。 画像診断(MRI・CT)、腫瘍マーカーの採血なども診断のために行なわれることがあります。
①機能性のう腫
排卵日頃から一時的に腫大して月経が来ると自然に消えてなくなるタイプののう腫です。
排卵日頃には卵胞が大きくなり、卵胞が破裂して卵子が飛び出すことによって排卵が起こります。
まれに、卵胞が大きくなっても卵子が飛び出ずに排卵が起こらないことがあります。大きくなった卵胞がしばらく残っている状態が機能性のう腫です。
②単純性のう腫
若い女性に多い良性の卵巣腫瘍です。
丸い袋のように見える腫瘍で、内部には隔壁や腫瘍の固まりが無く、水で満たされています。
直径5~6cm程度の場合は、そのまま様子を見る場合がほとんどです。ただ、単純性のう腫のように見えても非常にまれに悪性部分が隠れている場合があるので定期的な検査は必ず必要です。
③皮様のう腫
皮様のう腫も良性の腫瘍ですが、内部に油、毛髪、骨、歯などができます。
小さい場合はたいがい無症状ですが大きくなってくると下腹部痛や不快感などが起こります。
次第に大きくなる場合があり最終的に手術が必要になることがあります。
④子宮内膜症性のう腫(チョコレート嚢腫)
子宮内膜症が原因で卵巣にできる嚢腫です。
子宮内膜症というのは、子宮の内膜が子宮の内側以外の部分にできてしまう病気です。
卵巣に子宮内膜症ができると月経のたびに卵巣の中でも出血が起こります。そのため卵巣の中にドロドロの茶褐色の血液がたまるので別名チョコレート嚢腫(嚢胞)とも呼ばれています。
月経は毎月起こるのでチョコレート嚢腫も少しずつ大きくなります。大きくなった嚢腫によって下腹痛、特に性交時の下腹痛や月経時の下腹痛が起こります。
目次
卵巣のう腫は、漢方的にみると瘀血(おけつ・血行不良)や痰濁(たんだく・水分代謝障害)・腎経(生殖器系・ホルモンバランス)などの異常によって起こると考えます。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・折衝飲(せっしょういん)・桃核承気湯(とうかくじょうきとう)など
六君子湯(りっくんしとう)・温胆湯(うんたんとう)・柴苓湯(さいれいとう)・当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)など
シベリア霊芝・クマ笹エキス・スクアレンなどを併用するとよい方も多いです。
卵巣のう腫の改善には、日頃の食生活の改善も重要です。
できるだけ、洋食(油物・乳脂肪・砂糖)よりも和食(野菜・穀物・海草・小魚)を中心とした食事に切り替え、インスタント食品、スナック菓子、チョコレートやケーキなどは控えることをお勧めします。