気・血・津液 このページでは、基本的な中国医学の理論をご紹介いたします。 | ||||
目次 気・血・津液気・血・津液は人体を構成し、生命活動(臓腑、経絡、組織、器官の生理的機能)を維持させるための基本的な物質です。気とは、大きく2つの意味で説明されています。
○人体を構成し、全身を巡っている生命活動に不可欠な目に見えない精微物質 ○臓腑、組織、経絡などの生理活動 気の機能○推動作用生長と発育、臓腑や経絡、組織などの生理活動、血液循環など生命活動に関わるすべての機能を押し進める働きがあります。 ○温く作用(おんくさよう) 血液循環やエネルギー代謝などを行い体温の維持調節を行います。 ○防御作用 外邪(病原菌など)の体内への侵入を阻止し、侵入してしまった外邪を攻撃、排除するように働きます。 ○固摂作用 血液が脈管外へ漏れ出さないように統制し、汗、尿、精液などが異常に漏れないように統制します。 ○気化作用 津液(体液)を汗や尿に変えたりする一連の物質転化を行います。 気の病証○気虚(ききょ) 気の不足あるいは気の機能減退のことで、臓腑の機能低下や抵抗力の低下などを指します。過度の労働、睡眠不足、 長期の病気、先天的な虚弱などによって生じます。気虚の代表例として脾胃(消化器系)の気虚があります。 脾胃気虚の症状としては、元気がない、疲れやすい、言葉に力がない、息切れ、汗が出やすいなどの一般的な 気虚の症状に食欲不振、食後のもたれ、軟便などの症状が加わります。 脾胃気虚の治療法は補気健脾(気を補い脾胃を健全にする)で、朝鮮人参、白朮などの薬草や香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう) などを使用します。 ○気滞(きたい) 気の機能が停滞したもので、精神的ストレス、暴飲暴食、病邪の感染などによって生じます。 気滞の症状は様々で胸苦しい、胸がつかえる、みぞおちの膨満感、ゲップ、おなら、しゃっくり、 腹鳴、イライラ、ゆううつ感などが起こります。 気滞の治療には気の機能を動かす理気薬を用いますが、気滞の起きている部位によって薬草や処方が変わってきます。 血血は脈管内にあって全身を流れ、各組織、器官に栄養を与えます。血液そのものを血という場合と 各臓器への栄養・滋潤作用をさす場合があります。また、血液循環を意味することもあります。 血の病証○血虚(けっきょ) 各臓腑や全身を栄養・滋潤する血の作用が不足した状態をいいます。 血の生成不足、出血、血液破壊の亢進などにより血虚が起こります。 血虚の一般的症状として、顔色が悪い、皮膚に艶がない、頭がふらつく、目がかすむ、爪の色が悪い 動悸、月経の遅れ、過少月経などがあります。 血虚の治療には補血(血を補う)作用のある当帰、芍薬などの薬草や婦宝当帰膠(ふほうとうきこう) などの漢方薬を使用します。 ○血瘀(けつお) 基本的には血液循環障害のことです。原因としては、外傷、炎症、外科手術、出産、出血性疾患、寒冷など様々です。 特徴として、痛む(刺すような痛み、引きつるような痛み)、しこる(腫瘤など)、黒ずむ(顔色、皮膚、唇、患部など) 出血(慢性的に反復することが多い)などがあります。 血於の治療には活血化於の作用のある丹参、赤芍薬、紅花などの薬草や冠元顆粒(かんげんかりゅう)、血府逐瘀湯 (けっぷちくおがん)などを使用します。 津液津液とは、体に存在する血以外の正常な水液の総称です。すなわち細胞内外の液、唾液や胃液などの消化液、関節腔などの液、 涙、汗、尿などを含めた組織液に相当します。 津液は主に滋潤の作用を持ち、皮膚や粘膜を潤し、臓腑を滋潤し、関節を円滑に動かします。 津液の病症○津液不足 津液による滋潤作用の不足で、乾燥の症候がみられます。 ○痰飲(たんいん)、水腫(すいしゅ) 津液の停滞や過剰な分泌により体内に貯留した異常な水液のことです。痰、鼻水、異常なオリモノ、むくみなど が代表的で、頭が重い、めまい、体がだるい、膝が痛い、雨天に体調が悪いなどは原因として痰飲を疑います。 |