冷え症とは、手足など体の一部が冷えを感じる症状を言います。
実際に、他者が触って冷えを感じることもありますが、他者が触っても冷えていないが本人は冷えを感じて不快な思いをしている場合もあります。
一般的に、冷え症は血行不良によるものと考えられています。
実際に、血行不良がある場合も多いのですが、漢方的に見るとそれだけでないこともあります。
それぞれのタイプによって、治療法や適応する漢方薬が変わります。
以下に代表的なタイプを5つ記載します。
ご自分のタイプに合った漢方薬をご服用いただくことで、日常生活がお楽になっていただけるはずです。
1.血流障害タイプ-手先・足先が冷える、指先が白くなる、ひどいとシモヤケができる
気温の低下によって、末梢血流が悪くなるタイプで、特に手足の指が冷えます。冷えがひどいとしびれやしもやけが起こります。 原因-末梢血流障害
治療-血流改善
代表処方-当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、
芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)など
2.貧血・ホルモン不調タイプ-足首が冷える、生理不順、不妊症、おしりが冷える
血液の不足により起こるタイプで、冷えの症状以外にめまい、動悸、眠りが浅い、生理不順(生理の量が少ない、生理周期が長いなど)、顔色が青白いなど
原因-ホルモンバランスの不調・血行不良
治療-ホルモンバランスの安定・血行改善
代表処方-婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)+白朮散(びゃくじゅつさん)あるいは五積散(ごしゃくさん)
参茸補血丸(さんじょうほけつがん)+折衝飲(せっしょういん)など
3.ストレスタイプー手足の冷え、緊張で冷えが強くなる、ストレスを受けやすい
精神的な緊張により血管が収縮して血流が悪くなって起こる冷えのタイプです。過度の緊張を改善できるようにヨガ、瞑想、公園など空気の良い場所へ行く、ゆっくりお風呂に入る、などを日常生活にも取り入れることをお勧めします。
原因-交感神経の緊張
治療-自律神経系の調整
代表処方-四逆散(しぎゃくさん)+冠元顆粒(かんげんかりゅう)
・逍遙散(しょうようさん)+冠元顆粒(かんげんかりゅう)など
4.内臓・消化器系の冷えタイプ-腹部の冷え・胃腸が弱い
元々胃腸が弱い体質であったり、冷たい物を取り過ぎで胃腸を冷やして機能低下を起こしているタイプです。冷たい物や消化の悪い物を控え、お腹周りを保温する(腹巻きなど)ことに気をつけていただく方がよいです。
原因-消化器系の機能低下・冷え
治療-消化器系の機能改善
代表処方-人参湯(にんじんとう)・人参当芍散(にんじんとうしゃくさん)・小建中湯(しょうけんちゅうとう)など
5.老化・腎経の冷えタイプ-体全体あるいは下半身の冷え・足腰がだるい・夜間頻尿
加齢、過度の肉体疲労、性生活の不摂生などによって、腎経(生命エネルギーを蓄えている)が弱り、体に熱を生み出す力が弱くなって起こる冷えのタイプです。
原因-体の新陳代謝の低下・老化など
治療-腎経を温める
代表処方-参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、海馬補腎丸(かいまほじんがん)、八味地黄丸(はちみじおうがん)など
冷え症の改善には、漢方薬の服用とともに、食生活など日常生活も見直すことで効果がよくなります。
食生活-冷たい物、南国産の果物、生野菜、コーヒー、緑茶などの摂り過ぎに気をつけましょう。
適度の運動-ウォーキングやヨガなど適度の運動を心がけましょう。
睡眠-できれば、日付が変わる前に眠るようにしましょう。
入浴-シャワーで済まさずに、ゆっくりと湯船に浸かって温まりましょう。
月経時の生活-月経時は特に体を冷やさないよう食事に気をつけ、下腹部や腰の保温に努めましょう。