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膝痛(変形性膝関節症)と漢方薬

目次

  • 長年の膝関節症の痛みで悩んでいる方
  • 病院での治療効果を高めたい方
  • 漢方薬で膝関節症を治したい方

膝痛・変形性膝関節痛

膝の構造


膝関節は、常に曲げ伸ばしをしたり、体重を支えたりしています。階段を下りるときには体重の3倍もの荷重を支えています。これだけの負担がかかっても大腿骨と頸骨がすり減ったり、痛んだりしないのは骨が擦れ合う部分を「関節軟骨」が覆っているからです。また、その軟骨がすり切れないように大腿骨(だいたいこつ)と頸骨(けいこつ)の間に「半月板(はんげつばん)」が挟まり、複数の「靱帯(じんたい)」が骨と骨をつなぎ留め、さらに筋肉が膝関節全体を支えています。
また、膝関節を包んでいる関節包の内側にある滑膜(かつまく)細胞から分泌される「関節液」は、関節の潤滑油としての働き、半月板や軟骨に栄養を送り新陳代謝を促す働き、不要になった老廃物を滑膜細胞に運んで処理する働きをもちます。

なぜ変形性膝関節症が起こるのか?

健康であった関節軟骨にも少しずつ老化が訪れます。

かつてはいつもツルツルだった関節軟骨も新陳代謝が追いつかなくなり、少しずつザラザラになっていき、膝関節にかかる負担が増し、摩擦を受けて痛みやすくなります。

この状態が続くと軟骨の表面に裂け目ができ、剥がれ始めます。

この軟骨のカスを除去しようとする過程で関節に炎症や関節液の過剰分泌(水が溜まる)が起きてきます。こうなると膝関節は腫れて痛み、歩くのが辛くなります。

痛む→歩かない→筋肉が弱り関節の負担が強くなる→痛みが悪化する

変形性膝関節症が進行していくと大腿骨と頸骨の隙間(関節裂隙(かんせつれつげき))が狭くなっていきます。正常な人で8mm程度あるのですが、膝関節の悪化とともに関節軟骨は薄くなり、半月板も弾力がなくなるので、隙間が狭くなります。
隙間がさらに狭くなり、骨同士が直接擦れ合う状態になってくると骨の周辺にはトゲのような骨(骨棘(こつきょく))が現れたりしてさらに痛みが悪化します。関節軟骨の欠損や半月板の変性や損傷も起こります。

変形性関節症の起きやすい条件

○老化(新陳代謝の低下、ホルモンバランスの乱れなど)
○体重が重い、労働やスポーツなどで膝に負担をかける。
○大腿四頭筋(だいたいしとうきん)など膝関節の筋力が弱い
○足がO脚(膝の内側ばかりに体重の負担がかかりやすいため)

☆日常生活の注意

・患部が熱を持っている時以外は、冷やさないよう保温を心がける。
・生野菜・果物・水分の取りすぎに気をつける。
・関節痛、特に水が溜まる人はモチ米(もち、赤飯、おかきなど)を控える。
・筋力が落ちないように適度な運動をする。ただし、関節を痛めないように注意。
(温水プールで水中ウォーキングやイスに座って足を上げる体操など)・長時間同じ姿勢をしたり、痛む姿勢を無理にしない。(正座など)
・患部を気持ちの良い程度にマッサージする。

○日常生活の動作

・階段の上り下りは出来るだけ避ける
・出来るだけ正座は避ける(正座をする時は20分に1度は膝の曲げ伸ばしをする)
・トイレは洋式にする(自宅が和式の場合は、和式便器の上に乗せる簡易式もある)

○足の筋力強化

・足の筋肉(大腿四頭筋)を強化することで膝への負担が減ります。
(ただし、痛みが激しい時は安静が大切です。)

○適正体重の維持

・膝は、歩くときに体重の1.5~2倍の荷重を支えなければなりません。

体重が重ければ重いほど膝に負担がかかり関節の状態が悪くなります。
食事のコントロールやプールでの運動療法などで標準体重になるよう頑張りましょう
標準体重kg(BMI)=身長(m)×身長(m)×22 (身長155cmでは52.8kg)

現代医学での治療

○保存療法

理学療法-電気やレーザーによる温熱療法、湿布(しっぷ)
薬物療法-非ステロイド系消炎鎮痛剤の内服・外用・坐薬、ヒアルロン酸製剤・ステロイド薬の関節内注入
補助具 -杖、足底板やサポーター装着

○手術療法

関節鏡視下郭清術(かんせつきょうしかかくせいじゅつ)-膝下に小さな穴を2つ開け、軟骨の凹凸や半月板の形を整えたり、 骨棘(骨の周辺に棘のようにでた部分)を削る手術です。
頸骨高位骨切(けいこつこういほねき)り術-O脚がひどくなり膝関節の内側の負担が重度になった場合、頸骨の上部を切り、角度をX脚にして関節の外側にも荷重が分散されるようにする手術です。
人工膝関節置換術(じんこうしつかんせつちかんじゅつ)-膝関節の破壊が重度の場合に人工の関節を膝に入れる手術です。

関節の症状を改善するための主な漢方治療法

○血行改善をする
変形性関節症では膝周辺の血行が悪くなりうっ血状態を起こしている場合が多く、その場合は血液循環を良くする活血薬を使用します。入浴や患部を温めると痛みが楽になる場合に必要な治療です。
○水分代謝を良くする
膝に水が溜まるのは、関節部の炎症によって関節液が過剰に分泌された状態で、漢方では利水薬(水分代謝の改善)を使用します。雨天などで膝の痛みが悪化したり、膝が重苦しくなる場合も水分代謝を良くする治療が必要となります。
○保温する(お風呂に入って膝が楽になる場合)
入浴や患部の保温によって膝の症状が軽減される場合は膝を温める処方を使用します。
○炎症を鎮める(膝に熱を持っている場合)
膝に赤みがあり冷やすと痛みが楽になる場合は炎症を鎮め熱を冷ます働きのある清熱薬を使用します。
○軟骨を補うための材料を補給
すり減ってしまった軟骨を補うための材料を補給します。
○筋肉・筋の強化
膝支える足の筋肉や筋を丈夫にする強筋骨作用のある薬草を使用します。

○変形性関節症・膝関節痛によい代表的な漢方薬

・関節・筋肉・腱の強化と血行改善
長年の腰痛や関節痛、足腰がだるい、冷えや疲れで症状が悪化する
独歩顆粒(どっぽかりゅう) 活絡健歩丸(かつらくけんぽがん)など

・水分代謝の改善
関節に水が溜まる、天候が悪くなってくると痛みが増す、むくみ
薏苡仁湯(よくいにんとう)・麻杏薏甘湯(まきょうよっかん)・ 防己黄耆湯(ぼういおうぎ)など

・血行改善と経絡・筋肉の調整
関節や筋肉に痛みやしびれがあり、お風呂で楽になり、夜間ひどくなりやすい。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)・折衝飲(せっしょういん)など

・患部を温め水分代謝や血行改善
冷えると痛みが増す、お風呂で温まると楽になる、むくみ、尿がすっきりでない。
桂枝加朮附湯(けいしかじゅつぶとう)など

・炎症を鎮め、患部の熱を取る
温めると痛みが増し、冷やすと楽になる。主に急性期に多い。
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)など

腰痛や坐骨神経痛などの痛みは、早く対処するほど、早く効果が現れてきます。
ただ、慢性化してしまった痛みに対しても、辛抱強く漢方治療を続けていただくと、だんだんと改善していきます。
杖をついてでも、自力で歩いてこられる方でしたら、治療効果を期待できます。
あきらめずに是非ご相談下さい。